Day 3
2014年10月24日
パタンの王宮広場ふたたび
翌朝、ラジェンドラさんのお宅で朝食をごちそうになる。さっぱりした味のパンケーキ。これもまたおいしい。病院勤めのラジェンドラさんの奥さんを職場に送るついでに、ラジェンドラさんの自家用車、スズキのジープで昨日も寄ったパタンのダルバール広場まで送ってもらった。
ダルバール広場で、夕暮れでじっくりみられなかった、建物にぎっしりならぶ神像、仏像をゆっくりと見る。中には交接像、男女の神様が交わってる像もたくさんある。フランス人のツーリストグループにガイドがフランス語で説明している声が聞こえる。何を言ってるのかよくはわからないが、ガイドが交接像になぞらえて、おたくではどうですか、みたいな下ネタをふったのであろう。フランスのおばさま大ウケ。
ネパールの寺院を巡っていて、日本の信仰の姿とはちょっとちがう。どちらがいい、悪い、ではなく、ネパールのほうが人々の日常と信仰が密接で、敬虔、畏怖というよりカジュアル
な信仰スタイルのように思う。
ダルバール広場につぎつぎとパレードの列がおしよせていた。そろいのタスキや横断幕をかかげた、数十人の団体が。いくつも、いくつも。ある団体は仏像の載ったみこしをかつぎ、ある団体は楽器をうちならし、お祈りの言葉を口にしている。ムードは明るくなごやかで、敬虔な信徒の参詣、というより、阿波踊りナントカ連とか、サンバチームが対抗でパレードしてるようなにぎやかさである。おそらく、地域ごととかお寺ごととかのグループで衣装をそろえたりして新年詣での練り歩きをしているのだろう。
ダルバール広場を見下ろせるカフェをさがして、4階くらいのぼっただろうか。ルーフトップカフェのテラスでお茶を飲む。隣の席では数人のツーリストが英語でスマートフォンやカメラの話題などをしている。アメリカやヨーロッパの国か、違う国から来たツーリスト同士でたまたま同席しておしゃべりしているような様子だ。われわれはテラスからにぎわうダルバール広場を撮影したり、近くの建物の屋上で群れているサル(街中でもときおりサルは見かける)を撮影して隣の席のツーリストにも教えてあげたりしつつ、ちょっと一服。
こうしたルーフトップカフェは、わざわざ階段をのぼってきてからメニューを見るので、多少値段が高くてもお客に逃げられないんだろうなどと思った。日本のコーヒーチェーン店ほどではないが、ちょっとお高めの会計をすませて、もう少しパタンの地区を歩くことにした。
パタンにはカトマンズに増してお寺やお堂、仏塔、ヒンドゥーの神様の祠などが通りのあちこちにある。日本でいえば古都、京都、といった感じだろうか。
ダルバール広場のそばのきらびやかな彩色の大仏を拝し。
しばらく歩いてマハーボディー寺院に向かう。徒歩5分程とあったがなかなかつかない。ちょっと路地を奥まったところにあって通り過ぎていたのだ。ちょっと路地裏にはいると、観光客も少なく、地元の人たちが売店の前でお茶を飲んでいるような、のんびりした風景である。ちょっとわかりにくいところに、マハーボディー寺院の入り口があった。回廊状になっていて、大きいものは人の背丈ほどもあるような、やや大きな仏像や彫刻の並ぶ本堂の区画と、町の建物のひしめくなかにいきなり30mの仏塔の立っている区画とにわかれている。仏塔は、インドのブッダガヤに参詣した職人が親子3代にわたって作ったという、細かい彫刻や多数の仏像で壁面を覆われた、それはそれは手のかかった塔である。クラクラしそうだ。
またパタンの街を歩いて、王宮跡も入り口までは行ったが、入場料が高く、すでに大量の寺院や彫刻を見て目もアタマも飽和状態だったのでパス。
驚愕!中野ブロードウェイはネパールにも存在した!
ネパールに来てはじめて、デパートのようなところに入ってみた。間口の狭いちいさな商店の商店街をぬけ、建物に入る。全体はそれほどの大きさではなく、やや大きなショッピングセンターといった規模だが、入り口付近は吹き抜けのホールになっていて、床の一部が囲われて、新年を祝う花の床絵が描かれていた。
これまたネパールに来てはじめて見るエスカレーターで階上にのぼる。この感じ、空気感。どこかで見たことがある。そうだ、中野ブロードウェイだ!
東京の中野駅の北側に、サンモールというアーケード街があり、その突き当りに昭和の香りをのこした古い複合商業ビル、中野ブロードウェイがある。建物の感じといい、中に入っている商店の感じといい、いちどブロードウェイだと思うと、もうそのようにしか見えない。ときどき私も立ち寄るブロードウェイの中古映像音響機器取扱店、フジヤAVICのかわりに、ロック解除しますという看板を掲げたあやしい携帯電話屋さんが立っていた。残念ながら、有名なマニアな古書店まんだらけに相当するお店はネパールにはなかった。
新年のお祝いムードのパタンの市街をちいさな仏塔にお参りしたりしながら、カトマンズの中心街へもどった。この日は夜中まで、町のざわめきが部屋にひびいてきた。聞いたところによると、インドではディワリの夜は花火や賑わいで夜も眠れないほどだという。それにくらべれば、ネパールのディワリの夜のざわめきは遠くに響きここちよい程度だった。
さて明日からはヒロムDにとっても未知の領域だ。